LGBTとALLYのためのHappy Ending CAFE 第2弾 第1回『医療編』
【講師】
吉田絵理子(医師)
木村 恵子(エッセイスト・「愛する人に遺す私のノート著者)
【テーマ】医療
人の死亡率は100%、誰もがいつかは最期の時を迎えることになります。終末期のことを考えるのは気が滅入るかもしれません。
しかしLGBTQsの方々にとっては法ではパートナーとの関係が守られないことがあり、急に自分の意思を伝えられないような病気になった場合、備えをしていなければパートナーが医療の場から疎外されてしまうかもしれません。またLGBTQsの人々への理解が十分だとはまだ言い難い日本の医療・介護の現場で最期を迎えるには、できる限りの備えをしておくことが一人ひとりの命をまっとうする上でとても大切です。また最期のことを考えることは、生きる上で大切なものを見直す一つのきっかけになり得ます。
本セミナーでは医療現場で勤める内科医として、終末期はどのように訪れ、どのような選択肢があるのかをお伝えし、皆さんと一緒に前向きに終末期の備えについて考えていきたいと思います。
【内容】
・終末期とはどのような状態か
・終末期にはどのような選択が必要になるのか
・LGBTのパートナーシップは医療現場で尊重してもらえるのか
・いざという時のためにどんな備えができるのか
【レポート】
終末期とはどういう状態なのか〜亡くなるまでの経過〜死亡場所〜医療の現場ではどんな判断を求められるのか〜治療の選択、自己意思決定(表明含む)ができなくなった時は誰に判断を委ねるのか、事前指示書(Advance Didirective)で解決できるのか。
「大切なのは価値観を共有し、話し合うプロセス」価値観を共有と対話のプロセス(アドパンス・ケア・プランニング-ACP)の大切さ。将来に向け、あらかじめ早い段階から、患者が語ったり書いたりしたものを共有しておくと、意思決定能力低下時も患者の意思が尊重され、家族や医療スタッフも患者にとっての最善のケアが選択されていると思えるとのこと。つまり、どこに誰と住んで、どのような生活をして、どのようなケアを受けて、どのように最終段階を迎えたいか等話し合っておくこと。ACPがあれば、より患者の意向が尊重されたケアが実践され患者と家族の満足度が向上し、遺族の不安や抑うつが減少すると言われているそうだ。
2018年3月には「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改定され、「本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について」これまでは”家族”に限定されていたものが、”家族等 (親しい友人等)”に拡大された(厚労省発表のリリース参照) この改定は、これから単身世帯が増えることを想定してのことだが、現状婚姻制度が利用できない同性カップルにとっても有用だし、これまでのガチな”伝統的家族観”から”多様なライフスタイル”を想定した方向に進んだ事は「社会に合わせた対応」なので大きな一歩だと感じている。前回の講義から今回の7月の講義までのわずか9ヶ月の間でもこうした変化があって、それは医療現場だけの話ではなく自分の生活、人生に直接関係してくる事柄なので日々のキャッチアップの大切さを実感した。