LGBTとALLYのためのHappy Ending CAFE第5回『葬儀編』

【テーマ】葬儀

【講師】中村吉基(日本キリスト教団新宿コミュニティー教会牧師)

金澤和央(日比谷花壇フューネラルプロデューサー)

 

【内容】誰にでも必ず訪れる死。セクシャル・マイノリティがまだまだ「生きにくい社会」の中で、孤独と向き合い、困難と闘っている人々に寄り添ってきた中村牧師に「LGBTと死」についてお話しいただき、後半は、従来の形式にとらわれないお葬式やお別れの会の事例から、様々なLGBT当事者が、自分らしい葬儀をすること、そして、大切な人や友人の葬儀に嘘をつかずに参加し見送るすべを、葬儀の専門家と共に学びます。

 

【レポート】

2018年最初の“LGBTとALLYのためのHappy Ending CAFE”は『葬儀編』。シリーズ最高人数、満員御礼。

前半は、日比谷花壇フューネラルプロデューサーの金澤和央さんによる葬儀についての講義。これまで日比谷花壇さんが依頼を受けた葬儀、お別れ会、偲ぶ会、生前葬など様々な事例の紹介。直接葬、家族葬など近親者を中心に少人数で行う葬儀が8割以上、無宗教葬も5割弱であることなど、時代と共に変わってきた葬儀の形態について。

日比谷花壇さんが葬儀をプロデュースする際に意識することは「お葬式はなんのためにあるのか…”さよなら”より笑顔で”ありがとう”と伝えるためにある」ということ。

私自身の最後は葬儀無しの直葬が良いと思っていたが、葬儀は遺された人のものでもあって無碍にはできないなぁ(遺るひとがいるのかいないのかは別として)、これまでお世話になったのに自分が死んだら後は知らんぷりというのも自分勝手だよな…と考えさせられた。

 

後半は、中村吉基牧師から「LGBTと死」について。「日本においてキリスト教といえば結婚式のイメージを抱く人が多いと思うけど、実際は圧倒的に葬儀の方が多い。結婚式は誰もがするわけではないが、人は100%誰でも死ぬからです」という掴みから入り、LGBTと死の事例としてヘイトクライム(オーランドの事件、一ツ橋アウティング事件、台湾の葉永鋕事件など)について、性的マイノリティーの自殺リスク(異性愛者の5.9倍)について、2015年同性婚が合憲という判決が出た米国の現状(29州は、信仰の自由により性的マイノリティーへのサービス提供を拒否する権利が認められている事など)について、中村牧師がこれまで行ってきたLGBTの結婚式、葬儀の事例。キリスト教における死生観についてなど。

各宗教においてセクシャルマイノリティーはどのように捉えられているのかということに興味があったことや、講師の中村吉基さんの「ゲイであることを公表している牧師」というレアなバックグラウンドが興味深く一度お話を聴いてみたいと思っていたので、参加できて良かった。幼稚園、高校〜大学までキリスト教系だったのにもかかわらず、牧師さんとあまり絡もうとはせず、礼拝も神学系の授業も殆ど聞いておらず…だったのに、ゆっくり話してみたいと思う日がくるなんて。

「エンディング」を意識するということは、周りのこと、大切なこと、どのように生きたいのかを考えることに繋がること。改めて死生観について考える良い機会となった。

 

《懇親会》講義の中で紹介のあった「送られる方、送る方の気持ちに寄り添ったおもてなしのお料理」の数々。今回は実際にそのお料理を日比谷花壇さんのセレモニーに提供している業者さんからのケータリングだった。多様なスタイルに対応可能という例で今回のお料理はハラル認証を受けた食材を使った”ハラル料理”。

セミナー出席者の多くが懇親会に参加し、納棺師、僧侶、医療関係者、法律実務家、区議会議員などなど、多種多様な人たちとざっくばらんな交流ができ、とても有意義な時間であった。