TRP2019☆Pride Week企画☆親の介護 ×LGBT〜仕事・お金・心がまえ〜
Tokyo Rainbow Pride 2019・PRIDE WEEK企画『親の介護 ×LGBT〜仕事・お金・心がまえ〜』
【講師】語り手 Aさん(会社員)
コーディネーター 金谷勇歩(社会福祉士、言語聴覚士、内部監査士)
【テーマ】介護
【内容】いずれ直面するであろう、親の介護。さらにLGBT当事者は、“結婚していない単身者”との認識から、家族の中で「介護の担い手」と期待されることも。
あるレズビアンAさん(37歳)は、がん末期の母親の介護を自宅で行った。働きながら、介護保険サービスなどを活用し、母親の希望する「ここで過ごしたい」を実現したという。
今回はAさんの体験談をふまえて、仕事と介護の両立、お金のこと、また同性パートナーの関わりなど、LGBTにとっての親の介護について専門家や皆さまと一緒に考えていきます。
【レポート】TRP2019パレードが終わっても、まだまだPRIDE WEEKのイベントは目白押し。
講義は、レズビアンAさんが自身の介護経験を語り、金谷勇歩さんが、専門家として情報の肉付けをしたり、皆が疑問に思うであろうことをAさんから引き出す形で進められた。
Aさんは、がん末期のお母様の「娘の家で過ごしたいと」いう希望を叶えたいと在宅介護の決断をし、遠方にお住まいだったお母様を都内の自宅に迎えた。どのようにして、フルタイムで働きながら、介護保険サービスなどを活用し、パートナーの協力を得て、ワンルームの自宅でお母様の最期をサポートしたのか。
介護の資源となる「ひと」「もの」「金」についての実例を写真、数字、言葉で具体的に説明され、とてもわかりやすく参考になった。
具体例はさることながら、Aさんがその時何をどのように考えてそのひとつひとつの選択をしたのかを教えてくれたことに意義を感じた。多くの情報は検索すれば見つかる時代にはなったが、介護は人と人のこと、まして親とのことはデータや数値のみではかれるものではない。
「その安心と安全は誰のため」
Aさんがお母様を自宅に迎える決断を迫られた時に考えのもととなった価値観。今日一番印象に残った。今後の私の人生でも何か選択を迫られた時に思い出す選択基準になろう。
子育てや介護を考えるときに、気になるのが、同性パートナーの関わり方だ。Aさんとお母さまを支えたパートナーからの話も聞くことができた。Aさんとパートナーの関係を知っているのはAさんのお母様と弟さんだけで、他にはカミングアウトしていないため、周りには「とてもよくしてくれるお友達」と認識されていたそうだ。パートナーは職場でカミングアウトしていないので「彼女のお母さんの介護で休む」とは言えず、適当な理由をつけて有給休暇を取ってサポートにあたっていたとのこと。婚姻関係にあるカップル(夫婦)や家族であれば介護休暇を活用することも可能だが、同性パートナーは対象外である。家族じゃないとできない手続きがあったり、サポートできる範囲が限られてしまうのは損失だと思う。
お母様との大切な時間、プライベートの話を笑いも交えて共有してくれたAさんとパートナーさん、専門家として分かりやすく説明してくれた金谷さんに心から感謝。
講義の後、人権救済弁護団の弁護士Mさんから同性婚人権救済について説明と署名の呼びかけが行われ、参加者が快く署名に協力していたのも印象に残った。
懇親会では、美味しいお料理をいただきながら皆さんの介護経験や不安に思っていること等を共有できたことだけでなく、ざっくばらんな交流ができたのも良かった。Pride Weekに相応しい実りある時間を過ごせたことを嬉しく思う。<K>
【参加者の声】
・介護のリアルな話を聞く機会があまりないのでとても参考になりました
・親の意志を尊重して決めたいと思いました。後悔が残らないように、今のうちから両親と話し合って最高の人生になるよう頑張っていきたいです。とてもためになりました。
・自宅での終末期介護を現実的に考えることができました。Aさんの「最後まで生ききりましょう」という言葉が印象に残りました。
・親の介護というと少し遠い話だと思ってましたが、現実的に考えて準備をしなければならないなと思いました、実際の体験談ということもあり、とてもリアルで非常に参考になりました。貴重なお話、ありがとうございました。
・同じテーブルの人と話ながらリラックスして参加できてとても良かったです。実体験を聞くことはとても重要だと思いました。人数もほどよく、とても良い時間を持てました。興味深いテーマでの企画がこれまでも沢山あるのを見ていて、いつか参加したいと思ってました。
・親の介護中のため参加しました。Aさんのさんの頑張りだけでなく、Aさんのお人柄による皆様のサポートもあったのだと思いました。
・介護というキーワードで自分の親のことが気になり参加しました。又、会社や友人でLGBTの方がいて、その方々の思っていることが知りたくて来ました。親への向き合い方、介護をどうとらえるか等、Aさんの考え方を知ることができて良かったです。「パートナー」が世間的に言いづらい状況、興味本位で聞いてくることに対して、当事者の方々がどう思っているのかも知ることが出来ました。
・素晴らしい話で勇気づけられました。
・在宅介護のリアルな実態を垣間見ることができ大変勉強になりました。「介護」ではなく「介互」である、素敵な言葉だと思いました。在宅介護の費用案の少なさを知って驚きました。
・同世代の話を聞いて、特別な手段や高額なお金を支払うことなく、親の自宅介護とみとりをした経験がすごいと思いました。
・在宅介護の在り方、施設の選択と多くの情報の中、知っていることは大きな財産になると思います。介護問題はマイノリティーにかかわらず発生する問題点は変らないので、勇気をもった行動も必要なのかと感じました。
・親が元気なうちに話しておこうと思った。スライドが分かりやすかった。自宅介護のハードルが思ったより低くオプションの一つになった。パートナーさんの専門家視点のコメントがありがたかった。
・今日のお話を聞くまで,在宅介護という選択肢は自分の中にありませんでしたが、Aさんの話を聞き、両親が同じような状況になったとき、考えてみたいと思いました。特に、介護にあたり必要なヒト、モノ、お金を可視化してくださったことで、状況によっては自分にもできるかもしれないと思えたことは大きな学びでした。こういった個人のケースをお聞きする機会はなかなかないので、今回お話してくださったAさんに感謝しております。ありがとうございました。
・介護について改めて考えることができました。振り返ると改めて気づくことが沢山ありました。ご機会をいただきありがとうございました。
・まだ介護に関わった経験はないが、実際にどう動いたのか、費用、仕事との両立等、具体的な話が聞けて安心できる部分が多かった。また、Aさんのキャラクターとパートナーさんの人柄もあるが、暗くならず終始明るく話をしてくれたのも聞きやすくとても良かった。ありがとうございました。
・LGBTの介護に関するセミナーは少なく、とても貴重な機会でした。まだまだロールモデルも経験のシェアも少ないので、当事者の知識向上のためにできることをしたいと思いました。
・介護の前から親との関係や協力者とのコミュニケーションをとっておくことが(良い関係)大切だと感じました。将来はテクノロジーの力でもっと介護活動もやりやすくなるのだと思います。前向きな気持ちになりました。
・セクシャリティを問わず、遅かれ早かれ考えないといけない場面がやってくる。わかっていながらも、身近に具体例がなかったり、聞く機会がなく不安に思っている人が多いと思う。もっともっと多くの人に聞いてもらいたい講義でした。
・当事者(ケアラー)の声をきくことができ、大変価値のある講座でした。親や周りの家族と介護について事前に話しておく重要性に気付きました。
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